HOWLING BULL

TURISASがウォーロード・ナイガルド(Vo)とユッシ・ヴィックストロム(Gu&Ba)によって結成されたのは１９９７年のことだった。彼等の地元はフィンランドの小さな町でフィンランドの少し南に位置するハメーンリンナ。この町の名はフィンランドの戦いの神にちなんで名づけられた。彼等の最初の音源となったのは１９９８年に作られた「Taiston Tie(The Battle Path)」だったが、そのサウンド・クォリティの悪さからリリースされることはなかった。２０００年に入り、バンドはデモCD「HEART OF TURISAS」をレコーディングする。そして、エネルギッシュなライブを数々こなし、ファンやレーベルの関心を引いていくのであった。２００３年、遂にCENTURY MEDIAがワールドワイドの契約を結び、バンドは記念すべき１ｓｔアルバムへの制作へと取り掛かる。同年１２月、本作「BATTLE METAL」のレコーディングはスタート。フランスのSOUND SUITE STUDIOSで行われ、プロデューサーにはTRISTANIAやENSLAVEDを手がけたテリエ・レフスネスを迎える。ヴォーカルやコーラスの他にも楽曲を彩る楽器、バグパイプ、アコースティック、パーカッションはフィンランドのSTEEL TRACK STUDIOでレコーディングされ、その後、２００４年の春に全ての作業をSOUND SUITE STUDIOSで完成させた。

「BATTLE METAL」のリリース後、バンドはTUSKA FESTIVALやWACKEN OPEN AIRに出演するなど順風満帆な活動を続ける。しかし悲劇は突然やってきてしまう。ギタリストのゲオルグ・ラークソーが２００５年１０月２８日未明、運転中高速道路から道を外れ鹿よけフェンスを突き破り森の中６０メートル先でようやくストップ。最短で見積もっても意識の無いまま12時間フィンランドの冷たい大地に投げ出されており、発見時の体温は20.1℃だったという。その後病院に運搬され心臓、腹部、足を手術するが、後遺症として下半身＆手の麻痺が残り、ギターが弾けない身体になってしまったのだ。
ゲオルグのこの事故はバンドにとって存続と言う意味でも大事件であったが、バンドは新しいギタリストを入れることなく活動を続けることを決意。アルバム制作は予定より大幅に遅れてしまったが、２００６年１１月からSound Supreme Studioに入りこの壮大なる一大テーマ「THE VARANGIAN WAY～大航海戦士～」のレコーディングに取り掛かったのであった。

今作についてマティアス"ウォーロード"ナイガルドはこう話す。「このアルバムは心の内側から湧き出るものに従った。俺達は史実を基本としながらも、ファンタジーやイマジネーションも存在する。けれど俺はドラゴンやそういったものを扱ったファンタジー・メタルは嫌いなんだ。そこには中身なんかない。俺達は自分がやっていること（現実）を信じているだけだ。」更に続ける。「こういったエピックなテーマをロックン・ロール調にする気は全くなかった。歌詞は歴史に基づいて書かれていて、君達を冒険に誘うような雰囲気を創り出しているよ。」と。

ジャケットはCRADLE OF FILTHやHAWKWINDを手掛けたJohn Coulthartが担当。ポスター等に使われる宣伝文句は「V For Vendetta」を書いたアンディ・ムーアが担当している。

この作品のタイトルにもなっているVarangianとは、中世のスカンジナビアに住んでいたヴァイキング達のことで、彼等がテーマとなっている。バルト海を越え、栄光を掴むため東へと冒険する正に壮大なストーリーなのだ。

今作からアコーディオン・プレイヤーとベーシストが正式加入。アーティスト写真も気合が入りまくりで、毛皮を着用し顔にはペイントを施している。これについてナイガルドは「皆、この格好がクレイジーだって思うかもしれないけど、ちゃんとした理由があるんだ。俺達はLORDIじゃない。未だ現実と関係している興味深い古い話がたくさんこの世にはある。意味のない歌詞など一つもない。俺達はこの作品でそういった話を歌っているんだ。」と語る。

今後、Download FestivalのメインステージやGRASPOP、WITH FULL FORCE、ROCK HARD FESTIVAL、TUSKA等のフェスティヴァルに参加することが決まっている。栄光のミクラガルドへと向かう彼等の旅は今始まったばかりなのだ!!!